ぴょん記

こつこつ憶える

カットニスの戦後

  ゴールデンウィークは、『ハンガー・ゲーム』をご覧になっちゃいかがでしょ。

 

 『ハンガー・ゲーム』を観ていて、どうしても気になるのは、この作品の主たる観客である10代後半から20代前半の年齢層の人(いわゆるヤング・アダルトさん。)は現在の実際の社会をどう捉えているかということだ。物語の舞台である「パネム」は、分明崩壊後の北アメリカに現れた独裁国家で、分断された各地区から12歳から18歳の男女を選抜して互いに殺させ合う「ハンガー・ゲーム」を毎年開催している。主人公のカットニス・エヴァディーンは、妹のプリムローズの代わりに第74回のハンガー・ゲームに参加し、「勝利」したものの、その生き残り方が独裁者の忌諱に触れ、同時に屈従を余儀なくされていた各地区の反政府勢力に勇気を与える。/この作品は、三部作の3つめのさらに後編で、支配層の住むキャピトルへカットニスらが侵攻していく部分の話だ。美しく凜々しいカットニスは弓の名手で、革命のシンボル「マネシカケス」と呼ばれている。そのカットニスを情宣において最大限に利用してきた反乱軍の頭目アルマ・コインはジュリアン・ムーアが演じているが、コインにとってはキャピトル陥落が近づくにつれ、カットニスの人気が急速に大きな脅威に感じられていた。/カットニスにとっての最初の敵は、いうまでもなくハンガー・ゲームを被支配地区の民に強いるスノー大統領らなのだけど、途中ではからずも戦わざるを得なくなったゲームの参加者たちも歴とした現実の敵であり、いろいろあったけど前を向いて猛然と進んでいたらなんと背中から撃たれそうになったり。カットニス、苦しむことはあるけど、だらだらそのシーンを長引かせたりしない。背中を丸めて寝ていたら事態が好転することなんかありえないから。スノー大統領が、折に触れてカットニスのことを「愚かだ。」「貧しい。」と貶めるけど、カットニスはとても賢い。しかし、実際にとても貧しい。なぜ貧しいかというと、キャピトルがそういうふうに支配地区の民をずっと貧しくさせておいたからだ。だいたいの地区で、油断するとすぐ命に関わるくらい、みんな貧しい。このように、貧乏の元凶を設定したほうが苦境に落とされた側を嘲ることはけっこう多い。不条理だがなぜか強いほうが正しいという妙な論理で押してくる者は絶えない。ともかく、こういう全方位敵だらけの状況というのは、いまのヤング・アダルトにとって画面の向こうの話ではなくて、ゆえに、清しく戦うカットニスの姿は彼ら彼女らにとって等身大の主役なんじゃないかな。/最後の最後の15分で、『ええっ。』と驚いてしまったのですが。