ぴょん記

こつこつ憶える

さまざまな国家のかたち

 もうじき、森薫乙嫁語り』の最新刊が配信されるので、新しいほうの何冊かを朝から眺めていた。大きな邸に住まう細腰の婦人が「姉妹妻」として交際していた豊満な人妻でにわかに未亡人になった者を自分の夫の第二妻として迎え入れる話。8歳年下の少年のもとへ輿入れした遊牧民出身の若い奥さんが遠縁の部族と一緒になって自分たちの街へ攻め込んできた実家の部族を撃退し、その結果のひとつとして、父親を喪ってしまう話。最新刊は、その奥さんの嫁ぎ先に身を寄せる、当時としては嫁としての適性に乏しいとされる、しかし愛すべき性格のお嬢さんの婚姻譚の続きなので、わりと安心して読めるはず。

 この時代は、中央アジアの西のほうに、ロシアをはじめとする帝国主義の国々が覇権を及ぼそうとしており、若い奥さんの実家と遠縁の部族が嫁ぎ先の小さな都市に襲撃を仕掛けてきた経緯にもしっかりロシアの謀略が絡んでいる。大英帝国のおそらく貴族の次男坊である博物学者の研究調査の旅も、政治的思惑とは無縁でいられず、ところどころで命懸けの局面もあったはずである。そんな時代に、この奥さんの暮らす小都市は藩王の統治下にあるが、都市内の長老たちの合議による自治政治も併存しており、こういう大きさの組織でうまく回せる範囲の政治なら、そういう人たちに任せておいてもまあまあよかったんじゃないかと思ったり。