きのう読んだ短編の中でいちばん面白かったのは、ある系外惑星を拠点とする人類と戦っている主人公が、遺伝子操作した猫16匹を詰め込んだハコをその惑星の月の二百万年前までぶん投げた結果、即座に猫の大艦隊が現れて主人公の窮地を救ってくれたという心温まるお話でした。にゃん。
— pyonthebunny (@ae_pyonpyon21_j) 2016年6月17日
※ ねこの入ったポッドを月面上まで到達するように射出するという意味で、ねこは安全です。
ここでわたくしは、ツイッター上において、コードウェイナー・スミスの短編集の話をしている。「主人公」というのは、やや省略した表現で、とにかくその局面における攻撃主体が、多勢に無勢の窮地に際して、とても重いものを少しだけ過去/未来に、あるいは、まったく重くないものをものすごい過去/未来に、移動させられる能力者を使って躱したというもの。大艦隊を統御する猫の士官は、もちろん長靴を履いた猫のスタイルというのがわたしの想像するところ。
この時間に関する考え方は、小川一水『時砂の王』にも顕れた。「時間枝」という概念を用いて、たとえば、「この時間枝では人間は異星からの侵略者とのたたかいに敗北して滅ぼされてしまうであろうそれはどうしてかというと、未来で勝利しているならばそこから時間を遡行してやってくるであろうはずの援軍が未だにここに現れていないからだ。」などと登場人物に語らせたりする。時間の帯の上を行ったり来たりすることが可能であるという前提のもとでは、未来は現在によって十分に予測可能なものなのだ。
スキャナーに生きがいはない 人類補完機構全短篇 (ハヤカワ文庫SF)
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※ 新世紀エヴァンゲリオンの「人類補完計画」とは関わりがないので。
ねこといえばこれなんですが、とうとうこのねこがなぜに長生きすぎるほど長生きであるのかという謎が明かされてしまいます。我孫子三和さんの『みかん絵日記』のみかんちゃんのように利発で、みかんちゃんより黒いところのあるこのねこちゃん。オードリーと呼ばれていますが、もとの名は「かたばみ」といったようです。