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ぴょん記

まじめにはたらく

春のパン祭りにおもう(違

 きのう、年下の知人と、どうしたら売上高ふやせますかね?という話をした。かれが売りたい商品は食料品でものはよいもの、だけどいかんせん価格がやや高め、どのくらいかというと、日常の必需品よりは少し上で、贅沢品というにはややポピュラーという程度。たとえば、ひとくち羊羹でいうと、ヤマザキの「煉」と虎屋「夜の梅」の中間にある成田の米屋の羊羹ぐらいのところにある価格帯の商品。「おいしいですよ」「身体にやさしいですよ」で押していくにも限界があるやろうしなあ、と、わたし。ヤマザキ「煉」だって、十分おいしいし、身体にきついことはない。ついでに書いておくと、なにも目下春のパン祭りだからというわけでもないけど、ヤマザキのロイヤルブレッドの品質は、こんなおいしいパンが一袋148円で買えるなんてと凋んだりといえども日本の国力の強さをいやらしいまでに感じさせてくれる。デパートで買う、中ぐらいの大きさで300円するハードタイプのパンを仕事をしながらがつがつおいしく囓ることもあるけれど、148円で延べ4人が朝の空腹を満たせるヤマザキのロイヤルブレッドも十分おいしい。それはさておき、「おいしい」「身体にやさしい」だけで売るには限界があるとしたら、売る人と買う人の間の関係性をたのしく豊かで太いものにするのもひとつの手かもしれない。わたしは2時間いくらの自分の労働力を継続的に買い続けてもらうために、かなりしょうもない素の自分を隠さずみせるというのを若いころ心がけてきた。センセイはいい年をして、しかも主婦でもあるのに、大人っぽいボロネーゼよりべったべたのナポリタンのほうがお好きなんですねえと通い先のひとつのおばあさまがスパゲッティをたくさん食べさせてくださった。もしかしたらなにかの都合で、教えたり教えられたりお金いただいたりお金払ったりする関係は今回で終わるかもしれない。でも、きょうのわたしのこの時間はあなたがたに買い切られたものであるから、心をこめてお相手します、と、教科の知識のほかは、わたしにはその心構えしかなかった。とはいうものの、相手との関係性でモノを売るというのは、いわば信頼について語ることで、それはいまのわたしにはできないので、せめてたったいま思い出したように、これおいしかったのよ試してみてと、そばにあった自分の好物をそっとお裾分けするにとどめた。

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東京メトロ銀座線上野駅のパンダさんドア。)