ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『Tokyo Vice』を見直す

 昨年の春、WOWOWで放送されたドラマ『Tokyo Vice』は、最終話で、関西から進出してきた暴力団組織にすり寄っていた汚職刑事役の伊藤英明さんは消されるは、その組織と対立する地元暴力団から情報を得ていた一匹狼の刑事役の渡辺健さんは家族の命を脅かされるは、サマンサはホステスをして何年間もかけて貯めていた開業資金を盗まれ、かつ、親友のホステスを殺されるは、そのサマンサと恋人一歩手前までいった暴力団幹部の佐藤は刺されて路上に伏すは、で、登場人物総崩れの終わり方だった。そうそう、関西から出てきた暴力団の長も、病気が重くて愛人の裏切りも疑われて正妻はなかなかこわい感じのしっかりしたおかあちゃんで、という哀愁を背負っていた。

 続編を同じWOWOWで作るというプランは、そこかしこで観たものの、まだまだ本格的なプロモーションが行われていないところをみると、たとえ制作段階に入っていたとしても、はたしてどのフェーズにあるのかは外部からはわかりづらい。ダークサイドの、お金の稼ぎやすさ、たとえば客に無理な蕩尽を慫慂するタイプのホストクラブで一晩何十万円もの種類を自分の贔屓のホストのために注文する女客がいることとか、反対のお金の失われやすさ、犯罪や脱税に関係しているために8桁の金を奪われても警察はけっして頼れないとか、生存そのもののために高コストを負担するのが当たり前なところとか。

 2000年代に、いたずらに射幸心を煽って財産や収入に見合わない「投資」を行わせるサービスが流行した。偶然の事象を二重に経由することで、ときに驚くほどの高倍率でお金が増えることがあり得る、でも、ふつうは手数料でサービス提供会社が儲かるだけという取引きに、小金持ちも、それほどでもない人も、誘われては貯金を失い、借金を増やした。裁判を起こして返金を求めても、その人の金融取引の経験の厚さによっては、返ってくる金額も少なくなったりした。

 上記の例などは、金融知識の浅い人を標的にして、そのお金を吸い上げる仕組みなのだろう。いまよく行われている特殊詐欺は、家族の事故や間違いという虚構を提示して高齢者などを困惑させ、その混乱に乗じて、すばやく現金を奪うもので、より悪性が高い。そして、いきなり個人の住居や商店に押し入って、住人や店員らの反抗を抑圧し、ときに傷害、殺人などを行って財貨を奪うというのは、無法の極みである。

 そういうことを考えながら、今朝は、『Tokyo Vice』の作中で、佐藤がサマンサのために彼女のキッチンで焼く、葱入りの厚焼き玉子を作った。わたしのはハムの細切りも入っているけれど。

 

 これ、未読なので、こんど手に取ってみよう。