ぴょん記

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沢口靖子という奇跡

 金曜20時のBS時代劇の枠で、『小吉の女房』が現在放送されている。勝小吉は、海舟の父。その女房とは、家付娘の海舟の母親である。このタイトルロールを沢口靖子が演じている。

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 勝家は、微禄の幕臣で、江波杏子さん演じるおばばさまのもと、孫娘のお信(沢口靖子)と、その婿である小吉(古田新太)、ひとり息子の麟太郎が奉公人ひとりとともに暮らしている。あの沢口靖子の、ふつうよりは半拍おいて、おっとりと受け答える話し方は、映画でもドラマでも監督やプロデューサー以下、現場の人々が厳重に数十年もの間、この女優を大切に遇してきたからこそ保たれているもので、この先、同じようなかおりのある役者はおそらく得られないだろう。

 愚図は時間を掛けても簡単には直らないものだが、同様に、真のおっとりした挙措も、練習したからといって一朝一夕に身につくものではない。それぞれ、生まれつきがすべてであり、同時に、環境も大事である。

 

氷川清話 (角川文庫ソフィア)

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