ぴょん記

こつこつ憶える

チャイルド44 森に消えた子供たち

 ウクライナ飢饉の折に両親を失って孤児になった少年は、レオという新たな名を与えられ、1945年5月のベルリン陥落の英雄へと育つ。それから8年が過ぎて、レオは、国家保安省の職員として、スターリン体制に批判的な人物の摘発に当たっていた。ここで、1954年3月にKGBが設立されることを思い返せば、その直前にレオと、その妻に降りかかる火の粉の種類も容易に想像がつく。国家に忠誠を誓ったエリートとして過ごしていたモスクワを逐われ、広大な森林の一角に拓かれた辺鄙な町で、残りの人生を過ごすように命じられたレオと美人の妻。そこで、なんとか寄り添っていきていこうというレオに、妻は、レオに求婚されて、それを受け容れて暮らしてきた毎日をまるで卓袱台返しのようにいきおいよく覆すような事実を告げる。レオは、なんだようそんなこと今更いわれたって困るわなと動揺しながらも、モスクワからずっと引きずってきた少年の変死体が次々に上がってくる事件について、みんなが口をつぐむなか、どんどんのめり込んでいく。いや、もう、国家対一刑事のたたかい。子供たちはなぜ殺されたのかという謎よりは、自分以外誰も信じられない環境で、なんとか正気を保って生きていくにはどうしたらいいかそればかりが強く思われる映画だった。暴力シーンの映像処理と、昭和でいうと28年ごろ、モスクワで冬場に着られていたようなオーバーコートがいっぱい出てきてよかった。