TBSとWOWOWは、たまに連んで連続テレビドラマを放送する。西島秀俊と香川照之が、反社会的勢力に潜り込んだ警察官と、その逆で警察組織に浸透した親分の子飼いの悪党に扮した『ダブルフェイス』というアジア映画の翻案物などだ。『MOZU』もまた、西島秀俊、香川照之が主演であり、これに真木よう子を加えた３人の警察官が、これあかんねんで、という状況に立ち向かう物語であるが、テレビでは、season 1 と season 2 を TBSとWOWOWで制作して、ファーストランを分けたはずだ。
原作は、逢坂剛『百舌の叫ぶ夜』シリーズであり、その第２作の「幻の翼」を読んだところ、昭和の終わり頃に書かれたものなので、主人公たちが横の連絡を保つために気にするのが公衆電話の在処であり、男はどうしてもこのくらいタフでなければ社会を渡っていけないといういかにもきつい感じも健在である。
劇場版では、西島秀俊演ずる倉木は専ら暴力担当であり、それはいかにも敵を殲滅するためには有効であろうけどもそれにしても周囲の安全に対する配慮が欠けているのではないかと思われる戦法をとっさに繰り出してくる。香川照之の大杉は、テレビドラマの途中で警察を辞めて個人の探偵事務所を始めており、杉咲花演ずる娘のめぐみを誘拐されて怒り狂う。真木よう子は、劇場版では専らひどい目に遭うだけで、せめて最後のイタリアンは、ほんとに西島さんの奢りにしておいてもらってください。
海外での危険なシーンの動画撮影について、いろいろ考えないでもなかったけれど、そのあたりは、現地のコーディネーターが関係各所に事前に届け出て、保険の関係もきちんと処理されていると思いたい。
