ぴょん記

上古文学、外国語、数学、調理、編みもの、縫いもの、競争法

まだ最初の外遊(しかも香港まで)

 思うところあって、今年は、まんがを読む量を著しく圧縮しようと決めていたのに、昨秋にKindle版を買った『昭和天皇物語』第3巻を読み直してしまった。

 

  作画が『月下の棋士』の能條純一なので、摂政宮就任前の裕仁殿下以外の大人たちの表情が、デフォルメされて怖い。第3巻で特に恐ろしかったのは、長州出身で陸軍及び宮中に隠然たる力を振るい続ける山県有朋。心優しいが病弱な大正天皇を支え、東宮以下の宮たちの教育に心を砕く貞明皇后の挙措も効果線によって勇ましく描かれている。第2巻まで出てきた養育係の「たか」さんは、鈴木貫太郎という海軍の高官のところに後添いとして嫁いでいったので、この巻には出てこない。裕仁親王の御代にやがて起こるテロルや敗戦という大きな出来事に、貫太郎大将とたか刀自は深く関わっていくのだけど、この巻では、いわゆる「宮中某重大事件」と、殿下のはじめての外国訪問が話題の中心だ。

 

  『パレス・メイヂ』本編連載中から感じていたことだけど、作者の久世番子さんは、たぶん近代宮中史の本など、たくさん楽しんで調べられていたのだろう。この短編も後味の爽やかな仕上がりで、とても好き。