ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

漫画と小説、単行本で読むこと

 

昭和天皇物語 (4) (ビッグコミックス)
 

 30日から第2部河童編*1が開始したNHK大河ドラマ『いだてん』は、戦間期。帝都復興の槌音とともに、東京帝大の地下に温水プールが出現したり、高橋是清から3万円だか6万円だか、30前の朝日新聞の記者・田端政治がオリンピック参加予算を分捕ってきたり、威勢のよい幕開けだった。そのころ、欧州行啓を終えて帰途に就いた二十歳の皇太子を、摂政として戴こうという動きがあり、日光・田母沢の御用邸で療養の日々を送る天皇とこれに付き添う皇后のもとを元老及び首相が頻繁に訪れる。最初で最後の自由を体験した若い皇太子を待っているのは、とんでもない重責と苦難の人生である。

 

愉楽にて

愉楽にて

 

  日経朝刊の連載で飛び飛びには読んでいたけど、少し安くなっていたので、Kindleで購入。田中康夫『なんとなく、クリスタル』がそうであったといわれるように、一種のカタログ小説の趣もある。生を繋ぐのに世事に汲汲としなくてよい、若さからは遠く、かといって老いにもしばらく間がある男たちが、なるべく下品でない方法で快楽を求めるという話だったと記憶している。

 『なんとなく、クリスタル』から、40年を経過して、その間に、日本という国は、バブル崩壊リーマンショックを経験している。ということは、バブル景気とIT関連の株価高騰、未曾有の好景気が、そこにあって、そこそこの贅沢ならば味わった覚えのある層の厚みがそれなりに増したはずで、だけど、『愉楽にて』に描かれるほどの贅沢は、その僅か一握りの人にも、なかなか手の届かない性質のものだ。なぜならば、それは、けっこうな時間と、享ける側の教養を要求する贅沢であるからだ。

 それにしても、連載された漫画も小説も、単行本にまとめられてしまえば、数十分ないし数時間のうちに読んでしまえるけれど、それは待つ時間を省略した、案外味気ない行いなのかもしれませんね。

 

 

*1:もはや正式の名称かどうかもわからない。