ぴょん記

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『BEASTARS』第15巻

 

BEASTARS(15) (少年チャンピオン・コミックス)

BEASTARS(15) (少年チャンピオン・コミックス)

 

 主人公のレゴシは、ハイイロオオカミだけど、母方の祖父はコモドオオトカゲのゴーシャ。このゴーシャとともに社会を守るビースターズになろうと誓っていたヤフヤというウマが、使命よりもプライベートな幸福を選んだゴーシャ、ひいてはその孫のレゴシに恨みに近い感情を抱いて躙り寄ってくる。レゴシは、正直のうえにばかが付く正統派好青年なので、前巻で自分のすべての牙を差し出してまでしなくてもいい謝罪をしたというのに、ヤフヤは承知しない。この最新巻でもぐいぐい押してくる。一方、ドワーフラビットのハルの実家で、レゴシははからずもハルの家族全員と顔合わせをすることになり、詳細は省くけれども、ハルのお父さん(ドワーフラビット)も正当にレゴシの人格を評価してくれた。これは、小さな草食獣であるお父さんにとって、最大の勇気を要することで、登場当時はなかなか多情で奔放な女子高生にみえたハルを育てた家庭が、温かでフェアなものである証左だ。やさしい、楽しい、は、心懸けていれば、わりと達成可能な雰囲気であるが、公平であることは、とても難しい。まして、かわいい娘や、自分自身もその気になれば、一口でぱくっと食べられるハイイロオオカミ相手に、これはいい青年だ、と認めることは。

 多動物間衡平分配。これはもう生命倫理のひとつの独立した課題といってもいいんじゃないですか?