世は幕末。この物語内では女性である家茂の死因は、脚気衝心。一方、男性である孝明天皇は、ある勢力によって毒殺されたことになっている。三十代半ばの壮年の帝を排斥し、いまだ15歳の皇太子を擁して思いのままに事を運びたかったのは、いったい誰だったのかという問題。11代将軍家斉の娘である溶姫のように、幕末の慌ただしい時期に生涯を閉じた貴人は数多くあるが、そのうちでも孝明天皇ほどその死が、そう、崩御が、数多くの謎に包まれた人はいない。
次なる第19巻は、史実にパラレルに描かれるとすれば、江戸城受取りの前後の話になるはず。