ぴょん記

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『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

 日比谷シャンテで観た。もっとも期待していたのが衣装で、これは、メアリーのたびたびのお召し替えごとに侍女たちが袖を丁寧に留めているシーンがあったように、やや略式とはいえ満足のいくものだった。それぞれの衣装は、メアリーは、青が基調で、エリザベスは、おもに赤。冷たく湿った城砦に住まうメアリーに比べ、エリザベスはやわらかな日差しの射す大きな宮殿に君臨する。

 エリザベスのメアリーに対する感情は、よくあるような激しい嫉妬の裏返しである威圧的な行動に示されるものではなく、厩舎で仔馬を眺めたあと、ちょっとした仕草で表現されるような感じだ。わたしはこの先、実子を儲けることのない中年の女なのでなんとなくわかるのだけど、子のない女の一部の者は、自分に子のない事実そのものには傷心しない。子がないことが王国の存亡に関わることでエリザベスは貴族から詰め寄られ、従妹のメアリーからはぐいぐいと押される。

 エリザベスは十分に賢く人道的ですらあるし、メアリーも頭がいい上に勇気がある。感情に振り回されて、愚かな判断をしたポイントを誰も指摘できないのに、やはりメアリーは、最終的に刑死してしまう。

 あなたに会うから鬘つくらせて精一杯おしゃれしてきたのよ、という、終盤近くの、エリザベスの台詞の無惨な可憐さときたら。

 

映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』公式サイト

 

イギリス史 (世界各国史)

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