ぴょん記

上古文学、外国語、数学、調理、編みもの、縫いもの、競争法

『福袋』

 朝井まかてさんの短編集。大御所家斉の時代から、老中水野氏による天保の改革のあたりまでの江戸の庶民の哀歓を活写したもの、なのだけど。まず、最初の作品の初っぱなで、時空というか視点の置き場所が定まらずに弾みでまんまとタイムスリップさせられる。ああこういう職業の、たつきの頼りないなかにも意気地というものを失わない、そんな生き方もいいねえと心がせいせいする。

 ほかにも羽織裏に意匠を凝らす女絵師の、わじるし描かぬはいかなる理由かなどとどきどきする掌編も。力強い文字の力を感じる一冊でした。

 

福袋 (講談社文庫)

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  きょうは、『犀星王朝小品集』も届いたので、うれしい。