ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『辺境にて』

 『銃座のウルナ』の伊図透さんの初期作品集。貧乏とか非力とか個人に内在する弱さや、政治や社会の仕組みといったシステムの堅固な手強さが対置されていて、だからそこにいる個人は、しばしば味気ない思いをしたり、精神的なつらさや肉体的な痛みを味わったりするけれども、救いのなさだけがすべての顛末として用意されているわけでもない。

 読んだからといって即座に理解できるわけでもなく、また、時間が経っても腑に落ちるとは限らないのに、けっして忘れることができない時間が、この本にはある。

 

辺境で 伊図透作品集 (ビームコミックス)

辺境で 伊図透作品集 (ビームコミックス)