かの田沼意次の試みのひとつに、南鐐二朱銀を全国に普及させようとした通貨政策がある。豊後関前藩を致仕して江戸の民間に籠居することになった坂崎磐音は、両替商今津屋の用心棒として雇われることになる。市場でははやくも値崩れの兆しが観察されるにもかかわらず、官の触れの通り、南鐐二朱銀8枚で小判1両と交換する今津屋に対して、商売敵の阿波屋は、具体的な暴力や脅迫、のちには大量の両替依頼という手で次々と圧力を掛けてくる。阿波屋の後ろにいるのは、田沼と対立する老中酒井。田沼の通貨政策を破綻させて、彼を失脚させることこそが酒井と阿波屋の真の狙いであった。
上級武士とその家族が、国許の庶民の方言とどのくらい同じ訛りを保っていたか、藤沢周平の海坂藩ものなど観ても興味深いけれど、大分県杵築市の当たりにあったと思しき「関前藩」では、大身の家の跡取り息子らも、わりとのびのびと方言を話しちょったごとある。
これ、映画館で観たかったですね。