午前11時前。家を出て最寄りのバス停に立つ時刻を間違えてしまったために、日陰で風の強い場所で四半時ほども佇立することとなる。やっと会えた目当てのバスに乗り、途中で一度乗り換えてD大学医学部附属病院へ。最低湿度18パーセントという乾燥のため、採血後に目の前に置かれたカフェのホットドッグになかなか手が伸びない。パンを口にしたらたちまち身体中の残った水分がそこからもっていかれそうで。
帰りのバスのなかで、ウレタンマスクの初老の婦人と布マスクの初老の婦人が身振り手振りを交えて声高に語り合っていた。座席が近く、あいにくバスが込んでいて身動きも難しいので、不織布マスクの上からハンドタオルを当てて目を閉じてバスが一刻も早く終点に着きますようにと祈るような気分で待った。