ぴょん記

はてなスターはじめました 2022/04/19

『しゃべれどもしゃべれども』

 佐藤多佳子さんの原作を読んだわけでもないのに、話の筋を知っているのは、勝田文さんのまんがを読んでいたから。国分太一さんの二つ目落語家「今昔亭三つ葉」のところに、関西から転校してきた小学生の村林、クリーニング屋さんの娘の十河、もとプロ野球選手の湯河原が、なぜか集まって落語の稽古を始める。三つ葉は二つ目だから、もちろん正式に弟子を取る身分ではない。なりゆきで、それぞれ対人関係に問題のある三人の教え子を抱えてしまった。失恋とか、疎外感とか、孤独とか、生活の不安とか、三つ葉も含めて、師弟みんなが痛くて苦くて宙ぶらりんで、どこかに落ち着くこともできない。

 そういえば、雲田はるこさんの『昭和元禄落語心中』というまんががある。単行本で10冊、アニメーションにもなった。その中でも、こちらは夜だったが、隅田川水上バスに落語家と、その師匠の周辺を取材している作家が一緒に乗って川を下るシーンがあった。隅田川沿いや、浅草から上野広小路にかけてのルートは、落語家さん講談師さん、寄席に出る人下座をつとめる人が、実は忙しくいったりきたりする道すじのようだ。

 湯河原役の松重豊さんは、いま放送中のいわゆる朝ドラでもなかなか重要な役どころだけど、ハイブランドのコートなど着てスチール写真に収まると、やっぱりふつうの日本人男性からはかけ離れた様子のよさなんだよね。当たり前だけど。

 その松重豊さんは、『八重の桜』でヒロインのお父さんを演じ、村林役の森永悠希さんは、『花燃ゆ』でヒロインの弟さんを演じた。それぞれ、会津の話と、長州の話で。

 十河の香里奈さんが、最後の最後のほんの少し前まであの表情を保ち続けていたのは、ある意味すごいし、三つ葉のおばあさま役の八千草薫さんは、あいかわらず美しかった。なお、この映画は、2007年の作品。