ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』第32回

 北条氏とその賛同者らによる比企の屋敷への襲撃、その現場から幼い一幡ぎみと頼朝公の有力な乳母であった比企の尼がからくも逃げ延びたという設定の三谷吾妻鏡。一幡ぎみは、現在は義時の部下である善児と弟子のトウのもとに匿われ、「わしを好いてくれたので生かしている」という善児の陳述もむなしく、次回の人物関係図上では故人の扱いとなっていた。そして、比企の尼は、落魄の身を善哉の前に現し、北条家一門への復讐を刷り込む。この善哉が鶴岡八幡宮の尊暁のもとに入室し、公暁としてある雪の宵、実朝と対峙することになるわけで、実母が復讐の連鎖から我が子を守ろうとかれをしっかり抱きしめても尼のささやきのほうがもうずっと強く印象づけられてしまったのだ。

 今回、最後のほうのシーンで、実朝が三代将軍に任じられたとき、その乳母である実衣さんが亡夫がよく似合うといっていた緋の袿をお召しになっていて、夫も子のひとりも亡くしてしまったわけだけど、これから有髪のまま、権勢の女として生きていくのねと感じ入りました。そして、北条政範という、義時の26歳下の異母弟にして1204年時点では、位は同じ従五位下の貴公子が登場。この人が坊門信清の娘で、後鳥羽上皇の母方の従妹を実朝の御台所として京都に迎えにいったときに急死したことで、北条氏の内部にも激震が走るようです。

 

 朝日新聞社さんは、これを電子書籍にしてほしいですね。後鳥羽上皇のお母さんの七条院の修理大夫が意外な人の夫として登場します。