ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

くるりさんの『京都の大学生』

 また、この曲のはなし。

 「四条烏丸西入ルの鉾町生まれ」のお嬢さんが、「えらいちゃんとしたカッコして」お出掛けする理由は、いつもデートで使っている「左京区の大学近くの喫茶店」で、「北区の役所務めの20歳」の彼氏と、その日、もしかしたら別れ話をするかもしれないという予感があったのだろうなあと詞の流れの上では当たり前のことを考えています。

 2月と7月にこのごろよく泊まっていたホテルが四条通を上がって西洞院通にあって、2019年の祇園祭の前祭の宵山など一晩で15000歩ぐらい足弱のわたしが歩いたものでしたが、そのくらいでホテルを出てからいくつもの山鉾を見物できる感じで。よくいわれる「田の中」とはまた違って、鉾町に生まれて育つ人の矜持というものも祭りの夜はとくに誇らかで、粽をお分けする町町のお嬢さんたちの声もかわいらしいし寂しいしなんともよい感じ。この、「鉾町生まれのお嬢さん」も、粽の係で会所の前のお席についたことがあるかもしれない。

 そのお嬢さんが、彼氏と別れるきっかけになったのは、パリジャンの出現か、眺めのフランス留学の予定か、はたまた彼氏を幼く感じる彼女自身の嗜好か。206番のバスをみるたびに、そして、くるりさんのこの曲を聴くたびに、謎は深まるばかり。