ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

一般女性とアイドルのスペクトラム

 新潟のほうに拠点を置く、けれど東京のグループ本部から運営の人が差し遣わされているアイドルグループがある。そこに属する20代前半の女性の身に起きた暴行事件は、彼女のグループ脱退という結果を生じたわけだけど、アイドルあまた居並ぶ中には、セキュリティの不安な住居から引っ越したくても経済的に余裕がないなどの理由で身の安全を十分に確保できない人もたしかにいることだろう。

 あの大勢の女の人が連なって踊り歌う集団は、別々の事務所に所属する演者が運営者の主催するひとつの舞台で芸能を披露するものであると理解していた。たとえば、京都の芸舞妓がそれぞれの置屋に籍を置き、検番や舞の流派が企画する踊りの舞台に上がるような形態であると。だから、出し物の統一性を確保するために、運営者から多少の要望も出されるだろうし、いくらかの制約もあるにはあるだろう。

 でも、それにしては、今回の運営者と暴行事件の被害者であるアイドルタレントとの力の不均衡から生ずる理不尽には目に余るものがあった。ウィキペディアで調べてみると、そのアイドルタレントは、どこか別の芸能事務所に属して、その上で運営者の統括する集団に参加しているのではなく、運営の直轄の事務所と契約を締結しているようである。グループを脱退することと、事務所との契約解除とは別の問題であろうが、その若い芸能者が、これだけ力の差のある所属事務所に対して、契約に定められた制約と不可視の圧力の中で力一杯の抵抗を試みるのを、いくらアイドルという生き方から自分たちが遠いところにいるからといって、わたしたち大人が傍観しているのは、かなり情けない。これは、労働問題であって、そして基本的人権に深く関わることでしょう?一般女性と、アイドルとは、たしかにいろいろな点で異なる。しかし、同じ人間であることは、誰も否定したりはしないでしょう?

 詳しいことは、真実正しいことは、どこにあるのか五里霧中だけど、がんばれ山口真帆さん。