ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『麒麟がくる』第42回

 毛利攻めの副将である荒木村重が叛した。長女の岸を村重の子息に嫁がせている十兵衛は、羽柴秀吉とともに、村重に帰順を勧める。だが、村重の決心は揺らがず、そのことばの中に現れた義昭に救いを求める心で、十兵衛は、鞆の義昭を訪ねる。行って帰って六日だからと、左馬助ひとり連れて海路、敵地に乗り込む十兵衛。鞆では、義昭は、生きながらパワーバランスの均衡点となって、結局誰からも顧みられない身を自認していた。しかし、殺されなければ、いい。まだ戦国時代なのだ。「いのちだいじに」、である。そうそう、鯛が釣れたときの、義昭のあの手放しの笑顔ときたら。滝藤さんは、次は、秀吉をやってみるべきだろう。

 有岡城における一年間の籠城戦が始まった。この城の中には、2016年『真田丸』において、「なんとか官兵衛さん」といわれた、2014年『軍師官兵衛』の黒田官兵衛も囚われているはずだが、それについてはまったく触れられない。十兵衛の娘・岸は、籠城の寸前に、離縁されて実家に戻された。それを見守る左馬助のあの表情は、尋常ではなかった。

 三河から海路、紀伊半島を回り込んで十兵衛に会いにきたのは、徳川家康。信長の娘である嫡男の妻と、家康の妻の築山殿の感情のすれ違いが、嫡男と築山殿が武田勝頼と通謀しているという疑惑まで生み出し、とうとうふたりを斬れという命令が信長から発せられたのだった。いくらなんでも家内のことは自分が処断するべきこと、信長がそこまで差配することはできない、と静かに憤る家康に、十兵衛は危機感を抱く。ただのふたりの争いならよいが、三河を背負う家康が、尾張その他を支配する信長に対して牙を剥くとき、それは新たな天下大乱の芽になるからである。

 これではいけない、と丹波攻めを前にして信長の許に伺候した十兵衛を、信長は思うさま打擲する。発火点は、またもや正親町天皇についてである。月見に託けて親しく御諚を承った十兵衛に対して嫉妬を露わにする信長。正親町天皇は、自分が行った数々の奉仕をご嘉納くださって頼みにすると言ってくださったのではなかったのか、そして、十兵衛は、そもそもの昔から、帰蝶を自分のもとに送り、ほぼすべて肯定するかたちで、自分を見守ってくれていたのではなかったのか。割れてしまった十兵衛の額の朱をみて、信長は呟く。「どうしてこうなってしまうのか。そうか、みかどにご譲位をお願いしよう。」と。

 信長を取り巻く状況が、どんどん煮詰まってしまって、あと2回で、ものがたりは、終わる。

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このわくわく感はいったいなんだろう。