ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』第1回

 これから一年間、週に1回の放送が始まるに当たって、いわゆる掴みとしては、120パーセントの内容の第1回だったと思う。北条時政を演じる坂東彌十郎が、牧の方を後妻として北条館に迎えるにあたって、です/ます体でもってこどもらにことの経緯を説明しているところなど、とても新鮮だった。転じて、館のなかに佐殿を匿っていると知らされたときの狼狽、すかさず佐殿に挨拶するときの畏まりかた、そして挨拶が終わってのちの肩の荷が下りたのか砕けすぎるコメントまで、彌十郎丈の軽妙洒脱な演技に目が釘付けであった。そんなコミカルな時政であるが、祖父でもある伊東祐親に応対しようとする長子宗時には、お前が敵う相手ではないと父親らしく自分が矢面に立つ覚悟を見せる。鎌倉政権は、時政が長女の政子を頼朝の室に納れることを諾わなければ、たぶん成立しなかっただろうから、この人物の存在は重要である。

 そして、片岡愛之助演じる宗時とは、この人が永らえていたらならば義時はいったいどうなっていたかを思うと、まあ、重要な人である。北条を継ぐ兄と、将軍に嫁いだ姉に仕えて一生を終えていたかもしれない弟、それが北条義時だ。