ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

人類の勝利/フランスの混迷

 週末に、漫画を2冊買った。いずれもKindle

 

  最終巻。歯列の方向がわたしたちと異なる、蟷螂の大きいのに似た大食いで知能の高い宇宙人と、非力な地球人(と、その変種)たちとの死闘。高度な科学技術を既に獲得していたはずの宇宙人たちが、どうしてそのようにあまりに回りくどい生存戦略を採ったのか、それは脇においといて、狂騒の難局がいかにして解決されたのかをじっくりと読みたい。これの前の6巻をざっと読み返して、蟷螂宇宙人もひどいけど、それぞれの人間も負けず劣らずひどいよなあと自分のことは棚に上げて思った。

 

  サンバルテルミの虐殺から10年、夫であるナバル王アンリとの破綻に傷心しつつ、マルゴはパリに戻ってきたけれど、王弟アランソン公の死によって、王位継承の争いが起こる。マルゴの兄である30代を迎えた王には、子がなかったからだ。マルゴの初恋の人、ギーズ公は、聖教同盟を主導して、プロテスタントの王であるナバル王アンリの王位継承を阻止しようとする。戦乱の中で、マルゴの実母であるカトリーヌ・ド・メディシスは、意のままにならぬマルゴの切り捨てを決心する。同時期、ギーズ公の従姉で、マルゴの兄嫁であったメアリ・スチュアートは、刑死している。草莽の命が、戦争や疫病、貧困で塵芥のように扱われるこの時代、王族に生まれたからといって長命と安逸が約束されていたわけではない。それにしても、このマルゴのものがたりが萩尾望都の構成と絵で読めるのは、すばらしい贅沢だ。