伊図透『銃座のウルナ』は、最終巻。装備からすると、現実の第一次世界大戦終結時のフランスより少し上かなと思う程度の*1レズモアの狙撃手ウルナが、異民族出身の夫の死後を生きる話。大国間の戦争を行っている最中に、一方の国の片隅でこっそりジェノサイドをしていたわけで、愛国心に燃えるウルナがしらずにその片棒を担いでいたことに気付いてからの煩悶。その異民族ズード出身の夫との日々は、贖罪の気持ちの入り交じった、しかし、たしかに愛のあるもので、だからこそそのあとの全てを彼女は自分で引き受けなければならなかったわけで。まったくすっきりしないけれども、とにかく恰好のよいものがたりだった。
そして、『雪花の虎』は、第一次川中島の戦い。川中島という品種の桃や、魚津あたりの桃が大好きで毎夏少しずつ買っているけれど、きっとこのころからその桃の原種らしいものが穫れていたのだろうなあ。そして、きっとその夏もとても暑かったのだろう。それにしても、虎さま、ほんとうにきれいになった。