ここ数年、いとこが親切にもシャイン・マスカットを送ってくれるものだから、冷やして洗って、その大きな粒を皮ごと食べられるという贅沢な経験を重ねている。しかも、今年のは、房が大きすぎて、葡萄の入ったハコの四隅にパッドを当てて、そして浮かし気味に蓋を貼り付けて発送されていた。そのくらい大きかったものだから、3日に分けて食べた。ほんとうにご馳走様でした。
以上は、いただきものメモで、ここからが甲斐路という葡萄についての覚書だ。甲斐路は、赤い粒のマスカットに近い品種だ。「フレーム・トーケー」と「ネオ・マスカット」の交配によって生まれ、1977年9月に品種登録されたと紹介されているから、それほど新しいものでもない。これを生協の宅配で注文したのが先週届いたので、冷やして洗って、同じ粒数ずつ分けて食べた。
いざ食べる段となって、なんとなく、シャイン・マスカットと同じように、皮ごと食べられそうな気がしたのだ。家族が丹念に各粒の皮を剥いてから身を食べて、目立たぬように種を出していたのを目の端で捉えてはいたが、わたしは、ぱくぱくと皮も身も種も勢いよく平らげていった。なにしろ、皮の厚さは、シャイン・マスカットのほうが厚いくらいに思われたので。そして、最後の数粒だけ、ものはためしと薄く皮を剥いてみると、甲斐路に限ってはそのほうがおいしいように感じられた。
そうか、そういうことでしたか。
メモパッドの書き文字を読み取れなかったので、結末を想像しては楽しんでいる。そのうち眼鏡をかけてしっかり見直す。