ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

寒さに負け続けている

 対面で相手のある仕事をしていたころには、寒の入りだろうと台風が接近していようと、ほどほどの身ごしらえで約束の時刻より前に「そこ」に着くように出かけていた。電車やバス、それに自分の足が思うように動く前提で、かなり遠くまでにも出勤していた。

 それが、このごろ難しい。遅刻をしそうな、もしかしたらキャンセルするかもしれない私的な約束は、そもそも交わさなくなった。病院の受診は、ワタクシゴトではあるけれども避けられないので、診療科の予約時刻の3時間前には家を出るようにしている。病院まで都バスを乗り継いで1時間、着いてから検体検査を受けて、それが担当医師の端末に反映されるまで1時間少しかかるとなると、そのくらいの余裕がないといけない。

 ところで、きのうはとても寒い日だった。家のなかで少し動くのも億劫に感じられたのは、加齢と病気と習慣によるものだが、毛布を被っての昼寝さえままならない寒さというものは、まったくおそろしい。

 

 最初期の作品を読みはしたけれど、あとは殆ど読んでいないこの作家の、既に老境に達してからの作品をいまごろになってはじめて読んだ。作家にとって、妻の兄であり、旧友でもある映画監督は、その身の一部でもあり、また、絶対的な他者でもあった。彼らの耀きと闇をふだんとは違う側から見せられるという経験。これは、いったい正常な「読書」なのか。