ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

高森のその先へは

 日曜の朝、ふだんはテレビなど点けないのに、共通テスト二日目に雪の予報というのが気になって、食事の仕度を一旦休んで食堂のテレビでNHK総合。天気予報をみて、なんとなく納得して、ほかのチャンネルで新日本風土記の再放送。テーマは、南阿蘇鉄道。1973年、現在の南阿蘇鉄道高森駅から宮崎県の延岡駅まで延伸する計画が実施に移され、それまで水争いが頻発していた高地の暮らしが一変した。というのも、高森側から延岡に向けて掘り進むうちに阿蘇山外輪山の大水脈に当たり、そこから豊かな水が噴出して、延伸計画は頓挫したものの、以来、農業用水にももちろん生活用水にも苦労することはなくなったという話だった。2017年の再放送のブラタモリで、黒部ダムの隧道でも水抜き穴からじゃぼじゃぼ地下水が湧出していた。人間の暮らしのけっこう側にあって、ふだんは滅多に姿を現さない水が人の目に触れるというのは、もうひとつの神秘体験といえるのではなかろうか。

 なお、ここの地域の水は、けっこう柔らかくて、朝、顔を洗ったりうがいをしたりすると、いっそのこと、甘い感じすらする。日本茶がおいしくいれられそうだが、どちらかというと熱湯で台湾茶や紅茶をいれるのが好きなわたしには、もったいないくらいだ。

金曜に買った苺がすごく甘かった

 Apple Music で、森田童子さんの『ぼくたちの失敗』などを聴いた。真田広之さんと桜井幸子さんの『高校教師』というドラマがヒットしたあと、翌年くらいに出たベスト盤のCDがまだどこかにあるかもしれない。歌詞の中で、「仲間がパクられた」り、「クスリが回って」きたり、「汗を掻いて寝て」いたりするあたり、1970年前後の学生や若い労働者たちの挫折と傷心がテーマの曲が多い。

 外に向かって戦いを挑んであえなく敗れて、そして返す刀で自分の内側へ鋭く剔り込まざるを得ない、やさしい若者のうた。はじめて聴いたときは、わかるような気がしていたけど、何十年か経ってわかったのは、わたしは女だから、彼らの、男である若者たちの気概と挫折と後ろめたさは完全には理解できないということ。