ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

うさぎの年越し

 大晦日の午後から、山田の一家と一緒に有馬温泉の旅館で過ごしたから、元旦の昼過ぎにおうちに戻ったときはなんとなく抜き足差し足するような気分だった。ぼく、それだけ殊勝な心持ちでおったのに、帰って玄関がらりと開けた瞬間に、おかあちゃんがぼくの襟首を掴んで、ああもうこの子は冷えてからに、あら山田さんとこの皆さんもうお帰りにならはったの、という。おかあちゃんは、根っからの京都の人と違う。いや、関西生まれですらないけど、そこそこ京都のことばに近いものは喋る。でもあくまで遠慮がちにだ。山田のおかあちゃんや田中のおかあちゃんのような京都市内の、しかもいわゆる田の中で育ったおなごの、静かなんやけど逆らいがたい威厳のある話しぶりではないんや。まったくちがう。まあおかあちゃんの長い人生ではさぞかしいろんなことがあったんやろし、そういうひとつひとつがおかあちゃんの素になったりならんかったりしてるなとは思うけど、そこはつつかんほうがええのやろ。「おかあちゃん、これ、有馬温泉のサイダー。よう冷やしておとうちゃんにもあげてえ。」と、ぼくは3本だけ買うてきたサイダーを差し出した。手ぇ洗うてうがいして座敷に顔を出したら、おとうちゃんとウサギ3羽と、二条城のハムちゃんがおこたに入っていた。このウサギ3羽については、外交上の機密に属するから名前書くのは堪忍してな。さて、ハムちゃんはおるけど、ネコちゃんはおらん。これは、去年の秋から京都市動物園に日中だけ出勤するようになったネコちゃんが正月開園のよそのパークにアルバイトに出ているからや。鴨川のほとりで拾うてきたときは痩せた小さいネコやったけど、去年の夏頃からぐんと大きなりよって、京大の農学部の先生がためしに遺伝子検査してみたら、ほんまのところ、ユキヒョウやて。まあ、なんでもいいけど、そうなると大きなるにつれて餌代がますますかかるようになるのは目に見えてるよって、それは自分でお稼ぎゆうことで朝のうちにバスに乗って動物園に出勤しよる。えらいもんや。「みなさん、おめでとうさん。今年もよろしゅう。」ぼくはおこたに入っているみんなとおとうちゃん、おかあちゃんに頭を下げてみんなもおかえりとかおめでとうさんとかいろいろ挨拶してくれた。ウサギ3羽のうち、WさんがしょげているのをAさんとGさんが垂れた長い耳で交互に軽く撫でて慰めているけど、さすがにWさんなんか痛そうや。「ほら、ぼんにもお年玉や。」と、おとうちゃんがポチ袋を呉れた。500円玉が入っていた。おおきにと、ぼくは頭を下げて、おかあちゃんが出してくれた野菜ばかりのお雑煮に箸をつけた。

 のどかな正月やけど、もうじきセンター試験やで。

f:id:e_pyonpyon21:20171222150328j:plain

上野のパンダちゃんの公開記念やて。