ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『楽園』

 吉田修一の原作に基づく映画。松本市近郊の長閑な田園風景が広がる場所で、幼女失踪事件が起きる。田舎の和やかな景色に隠された、差別や暴力。ずっとそこに暮らしていた人と、外からやってきたり戻ってきたりしたりした人との間に。年長の人と、年若な人との間に。男の人と、女の人との間に。土地の有力者で最初の被害者の祖父でもある男を演じる柄本明が、被害者と事件の直前まで一緒にいた少女の成人した姿である杉咲花に向かって、うちの孫娘が死んでしまったというのにどうして一緒にいたお前がいま生きているんだと理不尽極まりない呪いを叩きつけるのはともかく、それをして恥じない心がとにかく恐ろしい。佐藤浩市のほうの事件は、現実にそういうのは起こったし、これからも止められないかもしれないと思った。でも、実際の限界集落というのは、もっともとからいる人間たちのほうが、むしろ劣勢に立たされていることも多いのだけど、今日のところはこのへんで。

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犯罪小説集 (角川文庫)

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