ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

あの世もこの世も(どこかと)同じ構造と性質で

ランド(11) (モーニングコミックス)

ランド(11) (モーニングコミックス)

 

  いよいよ最終巻がリリースされた、山下和美『ランド』。生産と物流が、その人口規模ではいったいどうなの、と思わないでもなかった文字のない世界で暮らす杏と、都市化が進んで人が好きな年齢でそれ以上の老化を止められ、死からも解放された世界に生きるアン。双子の杏とアンが、そのふたつの世界を作った別の双子、天音と和音それぞれの企みからすべてを自由にするまでの道のりが、全11巻の中に収められている、のだろうか、はたして。

 若さに固執して自分にも他人にも美しい外見と健康な身体を求める嗜好も、作り出した様々な掟の檻に自ら繋がれてそこから出ていこうとする者を激しく糾弾する傾向も、なにかどこかで見慣れたものではないかと思う。規矩を外れて、決まりから自由になろうとすると常に感じる刺さるような視線は、あの世とこの世のそれぞれの内部だけで飛び交っているわけではない。