ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

神無月の末には

 それは、まだ元号が平成に切り替わったばかりのころだ。新帝のふたりめの親王が宮妃を迎えるというので、世の中は服喪から慶祝モードに切り替わっていって、景気もぎりぎり弾けていない、わりと明るめな空気が一部では流れていた。

 表参道まで出れば、なんとなくハロウィンのディスプレイなど目についたものの、そのころは、なんといっても大学祭のラッシュ時期で、準備から実施、撤収まで、授業はほぼ一週間にわたり、お休みになる。サークル活動に参加せず、大学祭そのものにも主体的に溶け込もうとしないわたしは、したがって登校する用事もなく、自宅でノートをまとめたり遅まきながらの衣替えをしたりしていた。

 さはさりながら、夜に入ると、さすがにときどき固定電話が鳴る。語学クラスや専門ゼミの知り合いから、「酒があるよ」「鍋、しようよ」「だから、酒がいっぱいあるって」と飲み会の誘いだ。わたしは、異性や同性から恋愛の対象としてもてはやされるタイプではないし、アルコールが入ると行きもやっとのことである丘陵地帯の帰りがきわめてあやしくなるので、とても躊躇するのだけど、さすがに「さうざうしくて」、たまには、皆がひととおり食べて飲んで小腹が空いたころに点心と追加のビールをもって参加することもあった。

 学祭来なくて、じゃあ今日一日なにしてたんだよ、と聞かれて、学食のうどんが食べられなかったから、カップうどん食べてたよ、と答えるような虚弱さ全開の二十歳過ぎだった。

とても簡単なタイプのちらし寿司

 炊きたてのごはんを無印良品のレトルトと合わせて、あとは玉子など載せるだけ。