ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

さいとうちほさんの『輝夜伝』完結

 小学館月刊flowers」で連載されていた、さいとうちほ輝夜伝』が、今月発売の2024年3月号で完結した。平安時代、宮中の侍の詰め所で発生した惨劇を生き延びた少女が、自身の素性を知り、人生の選択を行う物語だ。法体で「治天の君」と呼ばれる人物は、いまだ若い帝の、父親か祖父かと思っていたが、最後のほうでとてもそれほど若くはない、時を超えた存在であったことがやっとわかった。主人公の母親がどこからきて誰と添うて、主人公が生まれたのか、だんだん明らかになっていくうちに、もうひとりの帝の妃になった姫もまた自分で今後の身の振り方を決める。

 

 

 ところで、これとは別に、清水玲子さんの『輝夜姫』という長編がある。清水さんが亡くなった人の脳の分析が可能になった近未来を舞台に書き続けている『秘密』より前に、白泉社の「LaLa」で連載されていた作品。これは、ある絶海の孤島に集められた少年少女が自分たちも知らない出生の秘密を共有していて、というところから始まるおはなしで、始まり方からは想像もできない壮大な展開を経て、もの悲しい終末へと主人公の人生は続いていく。

 月面でふたたび電源を得た機器のニュースが届いた前後に、月の娘のストーリー二題。