ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

立春を過ぎてからがかえって寒く感じられる

 関東では広く雪が降ったそうで、諸々お疲れ様でした。こちらは、靴下を履いたまま、少し洋式の半纏を着たまま、敷き布団と毛布の間に入って、その上に薄い掛け布団を置いて、犯人でもないのに震えて眠りました。

 そろそろ、いつもの常体に戻すことにする。

 そちらは底冷えがして冬がおつらいでしょうと他の地域の人からよく言われる。ええそうですね実際に住んでみて改めて驚きましたとお返事をする。そこに嘘はないのだけど、やや誠実さが欠けているのは否定できない。というのは、気温でこそ、前に長らく住んでいた東京の臨海部はこちらよりかなり温かいものの、居住していた建物の構造、住戸の高さや向きなどから冬場はほぼ毎日寒風吹きすさぶ外廊下であり、そこに面した寝間や浴室であった。夏は夏で、外廊下の反対側の台所の掃き出し窓から強風が吹き込んでくるので、窓を閉め切ってしかし冷房もない灼熱のキッチンで揚げ物や炒め物に取り組んでいたものだった。

 というわけで、先の問いに対する本音の回答は、「ぼちぼちさむい」。半纏を着たまま布団に転がり入るのも、薄味の豚汁やおでんが何日続いても飽きないのも、ここにいるからこそと思えば、ひとつひとつがわりと楽しい。夜中に、赤間が関の東西で、百文のサシに一文銭が100枚通っていたか96枚通っていたかの違いがあることなど、家族と語らうのも冬の夜長ならではである。そして、96という数字の合理性も、よい。

 

 

 

 平凡社ライブラリーに収められる以前、単行本の段階で大学生協で見掛けたけど結局手に取らなかったと思う。あの時期の大学生協の図書部には、専攻する分野の専門書のみならず人文系の膨大な在庫が並べられていて、出版社によるフェアもさかんに企画されていた。高校生のころ、週末に下宿には戻らずに市内の大きな本屋を経由して実家に帰る際でもなければアクセスできなかった岩波文庫の棚が学校の中にあるなんてすごいと思ったものだった。