ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

何十年前かの冒険小説

 

君よ憤怒の河を渉れ (徳間文庫)
 

  中国で『追捕』と題された『君よ憤怒の河を渉れ』は、合計で8億人の観客を動員したのだとか。映画は何度かテレビなどで観たことはあったが、そもそもの原作をきちんと読んでいないのではないのかと思ってKindleに落としてみたら、案の定、未読だった。全体が長い。そして、その後の西村寿行の作品で用いられた文体とは、やや異なる。同じように簡潔な文体ではあるけれど、ひとつの文あたりの文字数が、当時のふつうのハードボイルド小説の他の作家のものとそれほど変わらないはずだ。鯱シリーズなどになると、これがとても少なくなる。

 「杜丘」を追う「矢村」に相当する役に映画『マンハント』扮した福山雅治には、桜庭ななみというアシスタントがついていた。映画『君よ憤怒の河を渉れ』で「矢村」を演じた当時の原田芳雄の隣りに桜庭ななみを配してみると、いかに彼女が目のらんらんとしたはりきれんばかりの若さに漲った女性であろうと、いや、それだけに、無惨というしかない。

 夜半に腹痛で目を覚まして、いつもはこれくらい眠ってしまえば、朝にはけろりとしているんだがなあと訝しみつつ、伊豆の海で戦う杜丘の姿の描写を文字で追った。

 

君よ憤怒の河を渉れ [DVD]

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