ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』第14回

 清水冠者義高が、自分の父親である木曽義仲を追討するために鎌倉を離れる九郎義経の軍勢を見送って、「九郎殿が不愍。父は戦が強いので、九郎殿はきっと負けて死んでしまう。」と述べるラストシーン。それまで、視聴者は、九郎義経をはじめとする鎌倉の多くの大人たちと同じように、約定を違えた相手方からの人質であるがゆえにいずれ命を絶たれるであろう義高を哀れに見ていたのに、その当の義高がまったく違う事態のとらえかたをしていたことを突き付けられて、ただ驚く。

 千葉や土肥といった有力御家人が三浦館を訪ねて、義仲を攻める頼朝という構図の源氏同士の戦いに手勢を出して損失を負うのは厭だからクーデターするのでお前も加われと義澄に迫る。このあたり、のちに曾我兄弟の仇討ちで名高い富士の巻狩のあと、なぜか有力御家人らが相次いで出家して引退したエピソードと重なるものがある。先鋒の大将として九郎義経を指名した頼朝が「やはりほんとうに頼りになるのは身内だもの。」という趣旨の発言をした際の梶原景時の一瞬の眼差し。この頼朝に「情」を断ち切らせるためには、よほど周到に策を練らなければならないと、この知謀の人は考えたことでしょう。

 

 これまで9回、WOWOWプライムの日曜22時から、木曽義仲役の青木崇高(あおき・むねたか)さんが主演のドラマをみてきた。次回、最終回。