旅行に出る前は、省略気味の食事で、いざ旅の空となれば、ホテルの朝食、外でのご馳走の昼食、部屋に戻ったあとでのデパート地下のお弁当である。
ホテルの朝食は、ブッフェスタイルで、わたしは、ヨーグルトとパン、珍しいので煮物2種ぐらいと、あとはコーヒーとオレンジジュースをいただいた。パンを控えめにして、茶碗にごはんを少し盛り、だし茶漬けにして、上に梅干しをはじめとした各種漬物をのせた日もある。しばらく同じ宿を使い続けていたので、ポイントが溜まっていることもあり、ブッフェも気軽に利用できた。ところで、このホテルの朝食は、宿泊客でなくともお金を払えば食べられる。その案内を食後に一瞬ホテルの外に出たときに目をしたのだが、ふつうに考えれば高いけれど、朝早くからホール担当のアルバイトの人を含め、7人か8人が働き、きれいな食堂内を快適な室温にして、それなりの材料をつかって何十種類かの品数を揃えるとなると、廃棄の分も入れて、時節柄もうぎりぎりかもしれないというお値段だった。外からのお客さんは、お一人様2500円である。
ひきかえ、うちの朝食は、おそろしいほど簡素だ。コーヒーは、かろうじて淹れ立て。パンは、6枚切を1枚ずつ食べる。ヨーグルトは1個。夫のパンの皿にはハムエッグが載るが、わたしは、朝に卵もハムも食べない。
昼もこのごろは簡単で、たとえば今日は、茹でたスパゲッティに皿で調味するペペロンチーノと冷えたトマトだった。なぜか今日は、メロン4分の1ずつと、西瓜4分の1ずつ、そして桃を半分ずつ食べた果物特異日で、それらがなければ栄養失調気味であったかもしれない。
夕方、だらだらと首の後ろあたりと額から汗が噴き出るのを自覚しながら、南風が勢いよく吹き込んでくる掃き出し窓を閉め切って、台所に向かった。胡瓜を極薄よりは少し厚めにスライスして塩水に落として揉んで絞って酢和えにした。リンゴ酢多めであとは胡麻を振るだけ。茄子は、3個ほど一口大に切って斜めに切れ込みをいれ、フライパンで軽くオイル焼きにして、一旦ボウルに取り、同じフライパンで鶏挽肉をみりんと醤油、輪切り唐辛子で調味して、ボウルの茄子も合わせて炒めた。おかずが2品なので、しば漬けとか碾き割り納豆とか出して、炊きたての白いめしで夕飯にした。