ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

大雨がもたらしたもの

 山形県最上川及び荒川流域をはじめとした地域など、北日本のたくさんの地域に甚大な被害を及ぼした今般の大雨。原因となる台風が、すでに温帯低気圧に転じた後なので、「気団の干渉で前線が発達し、その北側に大量の降雨があった。その降雨は、たいていの人にとって、これまでに経験したことのない甚だしいものであった。」などと語られている。これから、暑い中でのお片付け、お気の毒である。

 わたしが中学生のころ、7月下旬に、大量の降雨があった。山が、うちのあたりは、大概保水力の豊かな山野に囲まれてはいたが、しかし、物事にはおのずから限界というものがあって、四半世紀前に杉や檜の植林で置き換えられた山の地面は大量の降水に堪えかねて、崩れ、溢れた水は低い土地の道路のアスファルト舗装を割るほどの鉄砲水となって現れた。「越水」した川の曲がり口そばにあった母校の体育館は、完全に床上浸水し、雨の止んだ翌日の緊急登校日、みんなで泥だらけになって復旧させた。

 当時は体育館内に木切れなども散乱し、破傷風に罹患する危険もあったのではないかと、大人になったあと、ぞっとしたものだ。

 さて、わたしが現在住まう、このあたりの出水があった場合の避難先は地区ごとに指示されていない。標高が低く、おそらくすべて水没するから、全区避難とだけいわれている。公共の設ける避難先がどこなのかはわたしは知らない。たぶん、西のほうに逃げる経路は地下へ潜る地下鉄が水没するから無理で、走行するのが地上部分になっている東へと向かうしかないだろう。なんとか首尾よく逃げ延びたとして、区民70万人のうち8割の50万人超を数日間から数週間、受け入れる高台が隣の千葉県さんにあるのかといえば、競馬場か駐屯地の演習場などに分散させるよりほかない。

 ところで、「垂直避難」といって、水位がどんどん上がってきたときには、堅固な造りの建物の上階に避難することが推奨されている。たしかに、が1日か数日で引くならば、地上数十メートルの住居に残って、飲み水を節約し、たぶんトイレも流さないようにして、質素に暮らすこともできるだろう。でも、水が引いたあと、はたしてそこに衛生上の問題は生じないのだろうか。わたしは、この、もとは埋立地だった町の下水道がどういう仕組みで動いているのかよく知らない。とてもたくさんの雨水が落ちてきて人間の膝の高さ以上になったとき、汚水と混ざらずにいられるものだろうか。

 水はありがたいが、同時に、水はおそろしい。きのうからにわかに涼しくなったことにこわごわと感謝しつつも、やっぱりいつもトイレの心配ばかりしている。

 白菜の漬け物などを公式ブログで注文してしまった。さすがに塩気が恋しい。