ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『ハント・フォー・キラー 狂気の呼び声』

 土曜、またWOWOWオンデマンドで北欧サスペンスの6回連続ドラマを観る。45分が6本で270分。ファーストランが1週に1回分を放送するタイプであると、ドラマの中に視聴者の記憶を喚起する部分を多少なりとも織り交ぜねばならず、そういう一概に冗長とも切り捨てられないパートをあえて切り分けて、正味240分4時間一本勝負の長さと捉えれば、劇場版の2時間か2時間半よりも濃いドラマ構成が期待できるはずである。

 素人の私見、もうまったくの好みからの判断でいうと、日本では、WOWOWドラマWのパンドラシリーズの試行錯誤が、日本の劇場版、あるいは地上波ゴールデン枠主役・準主役級の俳優及びスタッフを走らせまくって、そして確立した現在のドラマWの安定だと思う。もう、松田龍平さんが出ても、30分帯で門脇麦さんが出ても、ぜんぜんへっちゃらで、どこに出しても(=ほかのキャリアに転売したとしても)まったく恥ずかしくない仕上がりがペイテレビの独自制作としてほぼ期待できる。もちろん、それを支えているのは、たくさんのテレビと映画の製作スタッフの皆さんであることはいうまでもない。

 金曜に、市中に爆発物を置いていく人の気持ちを考え、土曜には、幼い女の子や非力な売春婦を拐かして、強姦して、死なせる人間の頭の中を思った。どうしてこんなひどいことを、と犯罪に接して無辜の民は感じる。これを行った者と自分との間には、大きな隔たりがあり、同じ人間のかたちはしていても中身はまったく違う、と。その心に偽りはないであろうし、また、間違いもないだろうが、しかし、殺人は、劫掠は、あるいは戦闘は、しばしばそうしたほぼまっさらな人間たちのすぐそばで起こる。

 とかいろいろ考えながら、スエーデンの人口何千人かの町、最初の事件が起きたのが1989年のイースターのころ、ときたら、その当時、市域にいた被疑者候補29人(と後に判明。)を割り出して、十数年後にDNA検査をまずは任意で申し出て、だんだん真犯人に近づいていくまでの老刑事の執念たるやいかに、とか考えてしまう。「アーベル&ベルゲン法律事務所」シリーズが現在のノルウェーの大都市で、警察の被疑者取調べにも弁護士の同席が認められているのとはえらい違いがあるけれど、近づこうとしている真実は、どちらにしても残酷なすがたをしている。

 

 爆発物でもご遺体でも、扱いにくいものに取り組んでくれる専門家がいるから、朝を迎えられるありがたさ。