ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

鶏むね肉と『芋粥』の狐

 毎週、生協の宅配で、鶏むね肉300gを届けてもらっている。だいたい大小1切れずつで届くのをポリ袋に入れて、パウダーの塩麹と粗塩少々をまぶしてチルド室にしまう。数日経って肉が軽い塩気に馴染んだころ、油をほとんど引かないフライパンで弱火で気長に焼く。あとは、スライスして柑橘を搾ったりしてごはんのおかずにする。

 今週は、正月とあって、いつもの鶏むね肉だけでなく、鶏もも肉も取り混ぜて、雑煮も筑前煮も鶏だらけで、おまけに残った鶏でスープまで作ったので、いつもの鶏むね肉の塩麹焼きは作らなくていいだろうと思った。ただし、作らないはいいのだが、依然としてもったいないことに鶏むね肉300gは存在している。漬ける時間は短いけれど、低温調理でオイルコンフィにしてはどうだと頭のなかで何かが囁きかける。

 下味を付けた鶏肉を多めのオリーブオイルで漬けてチルド室で寝かせ、電気圧力鍋のもうひとつの貌、低温調理器にこっちを向いてもらい、定温に達したうえ、150分その温度を保持するだけの簡単な調理。おもに調理温度と調理時間の違いで、オイルコンフィは、塩麹焼きとは別の仕上がりになる不思議。

 さて、オイルコンフィが仕上がって、これは翌日以降のごはんのおかずにと脇に取りのけていたら、不意の遠来の客。札幌の作家さんの手になる片口でぬる燗など勧めつつ、オイルコンフィを切って出したりした。近いうちにお客さんがあるからおつまみ少々用意しておきなさい、と芥川の『芋粥』の狐のお使いが昼のうちにきたのかもね。