河内晩柑(ニューサマーオレンジ)を生協で勧められて配達してもらっていた。昨年の春から夏にかけて、柑橘類を多めに注文して自分では食べきれなかったのを反省して、今年は受け身の蜜柑喰いになろうと決めていたけれど、この河内晩柑がおいしかった。家の年寄りは、それほど老耄の身というわけではないけれど、テーブルの反対側で皮を剥いてほいほい皿に置いていくとテンポよくほどよい量を平らげるので、あえて蜜柑や林檎の皮はわたしが取り除けるようにしている。苺の蔕などは、夫がきれいに取り去る。そうして食べさせた残りを何の気なしに口にしたところ、これが爽やかな甘さでいかにもわたし好みだったので、自分でもけっこう食べてしまった。
中身の4割くらいが固形のフルーツであるゼリーさえ、ろくに食べられなかったのがつい十日ほど前なのに、けっこう大きめの柑橘を丸ごとぺろりと平らげるようになったのはわれながら不思議であるけれども、蜜柑とかトマトとか西瓜とか、水気の多い生りものにはいかにも心強い力があって、食べたい気持ちを励ましてくれる。
なお、このくだものの名に含まれる「河内」は、原産地熊本のある地区を指すとか。