人間だれしも自分のことは悪く思いたくないものだろうが、自分の身から一歩引いて眺めてみれば、わたしも年相応に、いや、平均よりはかなり多めに浮き世の澱を尻尾や鰭に絡みつかせてうろうろと日を送っている。この季節、朝の5時には眼が覚める。水をひとくち飲んでまた寝床で長くなる。寝る前に派手に水分を摂るのをよしてからは、起床後すぐに手洗いに立たなくてもよくなった。靴下を履いていたりセーターを被っていたりいい加減な恰好で寝ているので掛け布団は夏冬兼用の薄いのが1枚、それにウールの毛布があったりなかったり。水を飲んだあとで、小さな蜜柑を剥いて2口で食べたり、冷蔵庫まで歩いて行く気力があったらヨーグルトの小さなカップを流しに立ったまま3口で空けたり。空腹をおぼえていないのに、蜜柑やヨーグルトに手を出すのは、ただひたすらに喉が渇いているからだ。ほんとうに両生類ならば干上がっているところだ。尻尾や鰭の存否と両生類であることとの関係も本当のところはよくわからない……。
きのうは、自分が動くたびに身体から悪い匂いが立ち上がるのを感じながら、全力で敗北感を覚えながら寝についた。汚れを洗い流して清潔な衣類に着替え、歯と舌をきれいにすれば、いくら中ぶるの身体でもそうそう不快な感じにはならない。でも、昨夜は特別。どろどろとしたよくない考えがへんな汗を掻かせる。わたしはお酒も煙草も嗜まないけど、のんでいる治療薬の種類と量がしゃれにならないので、その気にならなくてもつい油断するとものすごい匂いの老廃物を排出する。冬場に出す汗といえどもあなどりがたい。自分の体幹部、とくに背骨の真上あたりから出てくるもののたちのわるさに苦しみながら眠ったのだった。