ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

孤狼の血

 昭和という時代が終わろうとしていたころの、広島・呉原(「呉」ではない。)。14年前の暴力団幹部殺害事件の犯人ではないかとさえ噂される悪徳刑事のもとへ、県警本部からきた若手がバディ(運転手)として貼り付けられる。彼の裏の任務は、この悪徳刑事の服務規律違反にはじまる諸々の違法行為の証拠を押さえ、彼を懲戒に付すことにあったのだが……。

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 錚々たる俳優陣は、さすがに広島のことばも達者に操っていたが、明るく親しみやすい現地のことばが余さず引き摺る、あきらめとか哀愁とかまでは、どうしても難しかったのだろう。土地のきれいどころと猥褻な会話をしている暴力団幹部でさえ、どことなく都会の品性が感じられる。それは、難というよりは救いであって、もし、熟練したネイティブの役者たちがこの話を演じたならば、たいていの他地域出身の観客は、毒気にあてられて汗びっしょりになってしまったことだろう。

 あと、真木よう子さん、少し肥えてください。真木さんとオノマチがスクリーンで跳ねていない日本映画なんて寂しすぎます。

 

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)