ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『ディザインズ』第5巻

 先月、第4巻がリリースされた五十嵐大介『ディザインズ』の第5巻が、早くも今月22日に出ていたことを、24日の夜になってやっと気付いた。第2巻の美しい豹娘の、第3巻のイルカHA(ヒト化動物)のキイの、壮絶な行動に始まるカタストロフは、イルカHAたちの叛乱を引き起こした。その陰で、サンモントの五男坊はちゃっかり立ち回って、いつのまにか親会社と社外団体の全権を掌握しかねない躍進ぶりなのだけど、そこはカシコイ、ショーンくんのことだから、おじいさまをうまく担ぎ出して密やかに商売を続けていくのだろう。

 階段の途中にある小さな窯の主は、きっとおでこの大きな少年ランが作った、はじめてにしては出来のよい器を眺めるたびに、あいつはどこにいったのかと思わずにはいられないだろう。それに比べて、キイは、密林の外れで会った妊婦にも、病院で接した妊娠した看護師にも、残念ながら思い出してはもらえない。蛙の王女、クーベルチュールが、ランの自分に寄せる思いに気付いていたかは永遠の謎である。やさしい娘なんですけどね。