ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

山の中の小さな温泉

 温泉名を明示すると、あるいは迷惑を掛ける飲食業者さんもいるかもしれないので、わざとぼかして書く。

 その温泉は、泉質がよい。今年は特に、別府や道後、湯田といった、西日本でも有名な、又はまあまあ有名な温泉に行きがかり上、じゃぼじゃぼ浸かっているわたしは、しかし、温泉素人に過ぎないので確定的にその泉質を褒めていいのか悪いのかわからないけど、ゆっくり温もって肌に刺さらない。少し、炭酸は入っている。

 そこには温泉旅館が幾つもある。だから、泊まってご飯を食べてお湯に浸かる分にはそれほど問題はないのかもしれない。ただ、最寄りのJR駅からタクシーで片道5000円ほど掛かるので、わざわざ日帰りの立ち寄り湯をするのは、敷居が高い。片道1000円ほどの路線バスもないではないが、なんといっても本数が限られていて、温泉に着いてお湯に入った後は、また帰らなければならないので不便である。

 もうひとつ、この温泉が全国的にメジャーになりにくい要素がある。それは、昼の食事の選択の幅が少ない点だ。温泉の真ん中にある公営の入浴施設では、近所の食堂などから取り寄せた軽食をとることができるにはできるのだが、価格と内容の均衡がどうにも。10年前と比べても選択肢が3分の1くらいに減っていた。冒頭に、飲食業者さん云々と書いたのは、この点についてで、原価計算をすればたしかに現状のようになってしまうのだろうが、それではますます注文する人が減ってしまって、廃棄率だけが上昇していくのではないだろうか。うまくて安い蕎麦や饂飩をせめて一品ずつでいいから出してみればいいのに。

 鄙びた温泉で、冬場の平日などは、もう半日くらいお風呂に浸かったり出たりを繰り返していたくなるくらいよい場所なのだ。だから、このまま、温泉ガイドには出ているけれども、アクセスもやや難しいし、お昼もいったいどうしようといった感じで、閑散とした状態を維持していってもらっても個人的には構わない。だけど、それでは、地元の雇用も確保されないだろうし、なにしろぶくぶく勢いよくわき出ているお湯がかわいそうである。

 ほんとうに、いい温泉なのですよ。

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ある空港の食堂で