ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

須藤佑実『夢の端々』

 上巻だけ、まずKindleで読んで、何回か読んで下巻に取りかかった。昭和20年代の前半、戦争が終わってしばらく経った内陸の女学校でふたりの少女が出会う。ある事件を経て、戦争の影を濃く薄くひきずりながら、ふたりのそれぞれの人生は進む。平成30年の夏、85歳になったふたりは、久しぶりに再会するのだったが。

 

  読んだあと、たとえば『わかったか』と問われても、内容をよく理解したと答える自身がない。好きは好きなんだろうけど、誘われたからといって雪山で睡眠薬をのんで屋外に横たわることがなにを意味するか、地元の娘ならよくわかっていたはずで、それをあえて一緒にするという感情が、恋愛によって生じたものといえるかどうか。どちらかというと、このまま大人になどなりたくない/まんまと周囲のいうなりに妻や母になどなってやるものか、という反抗心によって結ばれた同盟のようにもみえる。

 でも、いわゆる「S(エス)」のような陰影や、はたまた遊戯性も感じられないから、真摯な絆は、やっぱりそこにあったのだろうなあ。