ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『鎌倉殿の13人』第11回

 また同じ役名の話なのだが。

 梶原善さん演じる「善児」の再就職先というか、新しい雇用者が決定した。最後に登場したとき、善児は伊東祐親に娘の八重さんの殺害を命じられたものの、八重さんの夫の江間次郎を手に掛けたにとどまり、八重さん殺害に関しては三浦義村に阻まれて未遂に終わっていた。その後、伊東祐親が鎌倉側に囚われたことで善児は失職し、今回、どこぞに盗みに入っていたところを捕縛され、畠山氏に「伊東の雑色だったと思う。」と指摘される。捕らえられた当時の持参物から三郎宗時を討った者ではないかと推察されるのだが、一廉の武者を暗殺した腕を買われて、あろうことか次なる暗殺を命じられる。

 鎌倉殿に御家人として仕える、後世に名の残る武士らは、粗野にしろ横暴にしろ、どこか吹っ切れていて陽性である。しかし、善児は、紛れもなき草莽であり、誰誰を殺せと命令が下れば、それを行う。多少の躊躇があるかとか、後悔はないのかとか、そういうことではなくて、命じられたことをする。今回の「鎌倉殿」の特集記事で梶原善さんが述べていたが、もしかしたら善児のお父さんもそういう汚れ仕事をさせられていたのかもしれない。人を殺すのにきれいもきたないもないものだが、五分に仕度した相手と立ち会う「尋常に勝負」の武士に比べれば、子供も女も手に掛け、武装したさむらいでも後ろから忍び寄って、という善児のスタイルは、いうなれば陰の部分の仕事だ。

 今回は、善児のことしか考えられないが、義時が盛長の腕に縋って悔し泣きをしていたのが、少しだけかわいそうだった。