ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

誰がいちばん怖い人

 

  日付が変わってから配信された最新のおはなし。イギリスはヨークシャー(広い意味でダウントンアビーと同じ。)にあるという、ロウランド伯爵家本邸を舞台にした、こどもたちと女性家庭教師が闇を生きるものがたり。『Honey Rose』という、十数年後の後日談が一冊の単行本にまとまっており、それを追いかけるように、本作『Under the Rose』の連載は続けられているようなので、伯爵であるアーサーの姉モルゴースさんが無辜でないことは確かだ。内因性の心の病ということに現時点ではなっている伯爵夫人アンナさんも、発病以前から「お退り!」「お黙り!」といいながら、侍女らや次男、夫である伯爵までも打擲するような、きっぱりした暴力の人だった。女家庭教師レイチェル・ブレナンのただただ善人であるような実母と養父の牧師夫妻も、娘がどんな思いで稼いだ金を実家に送っているのか、あまりに無頓着である点、おそろそしい。

 作中、ある女性が男に脅されて関係をもち、その後も継続的に不本意な行為を強いられ続けるのだが、あるとき、彼女のほうから、「どのみちあなたはわたしを求めるわけでしょう」と、積極的に誘いをかけることがあり、これは設定が設定だし、そもそも相手が相手だから、あるかもしれないことだけど、これがありで、いろんなことがむりむりむり絶対むり、というのは、男の人にはちょっと説明が難しいかもしれないなと思いましたことです。