ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『恋歌』

 明治10年に私塾「萩の舎」を開いて、上・中流階級の子女を門弟としてその数は一時1000人を超えたという中島歌子の半生記。桜田門外の変のあと、水戸藩の内部で、天狗党と諸生党とに分かれた党争が繰り広げられ、天狗党に属する藩士の子女らが捕縛され、獄死したり処刑されたりした。その酸鼻極まりない現実を生き抜いた主人公が、短く、しかもほとんど共棲みできなかった結婚生活を送った相手である夫に寄せた和歌が哀切であった。

 

恋歌 (講談社文庫)

恋歌 (講談社文庫)