ぴょん記

お暑うございます。

学習指導要領と教科書の市場シェア

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 要は、科目としての「現代の国語」から「文学的文章は除く」という学習指導要領の解説の文言が、どこまでの羈束力をもつかという話なのだろう。指導要領によれば、小説などの「文学的文章」は、古文や漢文などとともに「言語文化」に含まれるべきところ、第一学習社の「現代の国語」には、芥川龍之介羅生門』などの小説を載せており、しかもそれゆえにか、高等学校での採用率が俄然上がっているという。

 従来の必履修「国語総合」4単位は、来年度から必履修「現代の国語」2単位と同「言語文化」2単位に分けられる。古文と漢文を扱う「言語文化」で文学的文章まで扱うよりは、「現代の国語」の中で、同じ教科書でもって文学的文章である小説も教えられる第一学習社の教科書はきっと使い勝手がよいのだろう。古文と漢文は、文法の初歩から教えることも多く、それらに加えて(現代文の)文学的文章も、となると時間的制約も多い。古文と漢文は受験対策としてしっかり教えたい。だから、文学的文章のほうは、どうか「現代の国語」でお願いしますということなのだろうか。

 第一学習社の「現代の国語」の教科書だけが文学的文章である小説を掲載し、それがゆえにこれを採用した学校が多かったことは、同じルールで教科書を作ったつもりの同業他社に衝撃を与えた。同じ学習指導要領に従って、すなわち、「現代の国語」からは「文学的文章は除く」という解説にまで従って、「現代の国語」の教科書を作って教科書検定に合格させたつもりなのに、『羅生門』などを載せた第一学習社の「現代の国語」の教科書もなぜか教科書検定をパスしていて、教科書を用いる現場の高校はこちらのほうを好む傾向が明らかなのだ。教科書を買う生徒の数、全体のパイは決まっているので、自社教科書の市場シェアが低下するという事実はふつうの出版社にも増して切実である。

 業界団体の指摘を受けた文部科学省は、教科用図書検定調査審議会を開き、同審議会は、今年の8月、「小説が盛り込まれることは本来想定されていないが、文学作品を掲載することが一切禁じられているわけではない。」と説明した上で、「今回の事態を重く受け止め、今後はより一層厳正な審査を行う。」とのコメントを発表した。

 その後、第一学習社の小説を掲載した教科書には、目次ページで、これら五つの小説が「読む教材ではない」ことが明確になるように訂正が加えられた。

 ……でも、読んでしまうよね。